2016/06/24 11:51

「古きを訪ねて」という題名で始めますが、決して嘘の話ではありません。正確に言いますと、「嘘の様な話」と思いますが、私は信じております。
十数年前、季節は秋。私は一人で釣りに行く予定を考えていた。
誰も予定が合わなかった。それと、本州から来た人間は、秋といっても北海道の秋の夜は本州の冬に匹敵する寒さだという。
「積丹に行って、大きな根魚、カレイ、ホッケの五目釣りだね」そう心に誓い、ルアーロッドと投げ竿を持って行く事とした。
当日の天気は、、、「曇り」。雨は降らないようだが、風が強い雰囲気、当然、波もある。
しかし、風裏の漁港で釣れば良いと信じて出かけた。
積丹は大きな半島で、風が吹いても裏側には波が無い事が大ある。その場合は、何故か良い釣果になると感じていた。
車を走らせ積丹に、どの港にしようか地図を見ながら更に走る。
よさそうな港に着いた。小さい港ではあるが、外に向かって投げれば、何か大物が釣れる様な雰囲気であった。
堤防の真ん中より気持ち先端に近い場所に陣取り、夕暮れと競争しながら仕掛けを準備し、投げ竿でのキャスト。
遠目と中間と、二本の投げ竿で探りルアーロッドをセットしていると漁師風の方が、「兄ちゃん、天気が悪いのに好きだね」
気さくに話しかけて来た。
「風裏だから、釣り出来ると思って」答えると、「風裏だけど、風が変わったら危ないからね。うちらは、今日の乗り合い中止にしているから、波が来るようだとヤメなよ」気さくな船頭さんだった。
そんなこんなで、日が沈みルアー竿にはソイ、投げ竿には、カレイ、ホッケ、ソイ、アブラコ(アイナメ)など、釣れ出した。
当りが止まり、時計を見ると0時を回っている。次の地合いまで辛抱と思い、投げ竿の仕掛けを投げ直していると、後ろから「どうだい?」と小さい声。
突然、声を掛けられたが何故か驚かなかった。別の船頭か漁師だろうと思って。
「今、当りが止まっていますけど、まあまあですね」そう言うと、少しニッコリして、聞こえるか聞こえない声で「もってけ、、、」そう言った様に聞こえ、去って行った???。
「この辺では、魚を捨てて行く人もいるんだな」そう思っていた。
暫くして、風が変わり正面から吹き、波も大きくなってきたので納竿。
数年の月日が流れ、職場の先輩と釣りに出かける事があり、積丹に向かう事になった。
この港で釣りしたなと思っていると先輩が、「ここは止めよう。出るんだ」。
「えっつ! 何が?」
真面目な顔で先輩が、「もってけって、いう幽霊」。それを聞いて、別の港で釣りをして帰った。
後で調べた結果。
急な天候の変化で漁船が、転覆。大漁だった為、荷崩れを起こし船長が亡くなったとの事。
「置いてけ」と聞いている人もいる。
私は、「もってけ」と聞こえた、そう思っていますが、「船長の魚を皆に食べさせたい」という船長の気持ちであったと、今でも思っています。
再び合う事は、未だありません。「置いてけ」と聞こえた方は、釣り過ぎか無駄な殺生をしていたのかもしれません。
これが有り私は、キャッチ&リリースやバックリミットを考える様になりました。
魚を大切に !!
by Gofield
